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水・緑・風・都市環境工学へ

Aldo Leopold18871948)は、環境問題に多大な影響を与え、特に人間中心主義をこえた、生命中心主義的な倫理のあるべき先駆性を「LandEthics」の中で示した。

そして、
Henry George (18391897)は「Progress and Poverty」で、地球という「船」の貯蔵は無限であるとし、「我々の地球船は良くできたである。もし甲板上のパンと肉が少なくなったら、ハッチを開ければ、新たな食料が補充されている」とした。

アメリカのフラー・ドームで著名な建築家Buckminster Fuller1963「Operating manual for Spaceship Earth」を著わし、宇宙的な視点から地球を説いた。その中でFullerは、「我々は、科学力と技術力を適切に使えばすべての人類を幸せにすることが可能である」としながらも、有限な化石資源を消費し続けることの愚を説き、これらの資源は新たな資源を地球外部(太陽など)から獲得するためだけに使われるべきだとした。地球外から得るエネルギーの収入だけで生活できる可能性がすでにあるのに、現存する社会システムではこれが実現不可能であると述べ、変革の必要性を強調した。

今日の地球環境問題の深刻さは、将来の世代にまで強く影響を及ぼすことにある。それゆえ、時間を超えた倫理観が必要で、時空を超えた共存という難しい概念に挑戦しなければならない。

我が国は、物の豊かさを追求する見事な(?)競争社会をつくり上げ、現在でも軌道修正出来ないでいる。そして、さらに多くの発展途上国がこれに追随している。

特に、原子力発電は「神の光」となるのか「悪魔の光」となるのか、近未来の身をもった体験から、その実態を確認できることになろう。その時にこそ、我々の生活を根底から変えることを要求される事態が発生する筈である。吉村昭氏「三陸海岸大津波」を読むべきである。

地球環境、人類存続からみると恐怖以外の何者でもない。中でも全世界的に人口集中が予想される、都市における環境問題解決のためには、思い切った変革が必要である。変革の方向性は「共生と安心」である。


我が国でも人口の殆どが都市に集中する時代となった。この都市居住者の意識動向次第で環境問題は決まる。我々都市居住者は自然の恵みや驚異を実感することが少なくなった。

超過密に起因する大都市問題は、複雑にして多岐である。大都市のリノベーションは長期を見据えた着実な取り組みが必要となってきた。豊かな生活空間の再生や経済活力の維持、高次都市機能の円滑かつ高質化を目指した都市空間の修復、更新により、大都市構造の再編成が求められている。

それは、取りも直さず自然環境を見据えたスープラ・ストラクチャーと、人工構築物によるインフラ・ストラクチャーと、生活者とによる共存共生で、都市生活の安心を担保することにある。これ等の実現が
21世紀に向けて人類が持続可能な発展を実現しうるかどうかの鍵を握る。

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